2011年08月02日

pendule 〜 時 計 〜 -scene:2-





         :サンドリオンの店内 -----

         :男、カウンターへ掛ける -----


マスター 「いらっしゃいませ ... ようこそ」

男    「どうも ... そうだな ... スコッチをニートで、それにチャイサーをお願いするよ ...
      あ、銘柄は任せるから ... 」

マスター 「はい ... かしこまりました ... 」


        SE:ロック・グラスにスコッチが注がれ
           続いてチェイサーが用意され添えられる -----


女    「バーテンさん ... 」

バーテン 「はい、何か?」

女    「あの時計って ... 」

バーテン 「時計 ...?」

女    「時間が違うんじゃ ... 」

バーテン 「ああ、あれですか ... 申し訳ありません ... 実はあの時計、この店の云わば
      サインボードのようなものでして、あえてあの時間に針を合わせたまま止めて
      あるんです ... 」

女    「それが12時 ...?」

バーテン 「この店の名にちなんだ時間なんです」

女    「お店の名前って ... サンドリオン ...?」

バーテン 「そうです ... フランス語でいうシンデレラなんです」

女    「シンデレラ ... なるほど ... それであの時間か ... 」

バーテン 「初めていらっしゃるお客様には、時折同じようにご指摘を受けたりするんですが
      こうしてその意味をお話ししますと、皆様、概ねご理解してくださるようで ... 」

女    「そうでしょうね ... でも、少し罪な時計ですね、あれって」

バーテン 「はい ...?」

女    「私のように、人を待つものにとっては ... 少し酷な時計かな ... 」

バーテン 「恐れ入ります ... この店のオブジェとして、ご容赦頂ければ幸いです ... 」

女    「(少し笑って)気にしないで下さい ... そんな深い意味で云ったんじゃないですから」

バーテン 「恐縮です ... 」

女    「(ポツリと)... 止まった時計か ... 」


         SE:ジッポウの音 -----
           :男、ゆっくりとタバコを一口喫う -----


男    「(ポツリと)... いい店だな、ここは ... 」

マスター 「それはどうも ... ありがとうございます ... 」

男    「 ... 初めてなのに居心地が良くて、雰囲気もいい ...
      それにうまい酒を出してくれるし ... 」

マスター 「お褒めに与り、光栄です ... 」

男    「いや ... これは素直な感想ですよ ... 」

マスター 「私共にとりましては、励みになるお言葉です ... 」

男    「そうまで云われると、こっちが恐縮するな ... 」

マスター 「これはどうも ... 」

男    「それにしても ... こんないい店がこの辺りにあったなんて、気がつかなかったなァ ... 」

マスター 「失礼ですが ... お近くにお住まいなんでしょうか ...?」

男    「そうだな ... 近いといえば近いし、遠いといえば遠い ... そんなところかな」

マスター 「そうなんですか ... 
       実はこの店、昨年の春にこちらでオープンさせて頂きましたもので... 」

男    「そうか ... 去年の春か... でも、それにしてはマスターの雰囲気が様になってるね ...
      かなりキャリアがあるように見えるけど ... 」

マスター 「こちらへ参ります以前は、海岸通りの方で長くやっておりましたものですから ... 」

男    「なるほど ... それでか ... 」

マスター 「そう云われるお客様の方こそ、かなりお酒のことをご存知のご様子で ... 」

男    「どうしてそう ...?」

マスター 「先程のオーダーのされ方が、それを物語っておりました ... 」

男    「オーダーの仕方 ...?」

マスター 「スコッチをニートで、チェイサーを ... これはお酒を熟知される方のオーダーのされ方
      ですので ... 」

男    「まいったな ... マスターの観察力には、本職の私も脱帽だな ... 」

マスター 「本職、と申されますと ...?」

男    「いやいや、気にしないでほしい ... それよりマスター」

マスター 「はい ... 」

男    「折り入って聞きたいことがあるんだが ... 」





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posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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