2011年07月19日

ソムリエ [ Vintage.T] -scene:4-





        :サンドリオンの店内 -----


タクヤ  「そうか... そういう訳か ... それでイライラしてたってことか ... 」

ヒトミ  「別にイライラなんかしてない ... ただ ... 」

タクヤ  「ただどうしたんだ?」

ヒトミ  「だから私 ... 」

タクヤ  「返事したのか? そのプロポーズに」

ヒトミ  「気になるの ... ?」

タクヤ  「気にならないわけないだろう ... 」

ヒトミ  「そうなんだ ... 気になるんだ、やっぱり ... 」

タクヤ  「そういう言い方はないだろう ... で、どうするつもりなんだ ...?」

ヒトミ  「それって ... 答えなきゃいけないのかな ... 」

タクヤ  「ヒトミ、お前 ...(鼻をすする)」

ヒトミ  「これは私の問題なわけで ... 今更とやかく言われたくない... 」

マスター 「ヒトミさん ... 」

タクヤ  「そうか ... そうだな ... 2年間も女をほったらかしにしてた男には関係ない
      かもな ... 」

ヒトミ  「あなたがフランスへ行く時には ... そんなこと云ってくれなかった...
      でもイブキさんは、私を連れて行きたいと云ってくれた ... 」

タクヤ  「イブキって云うのか ... そいつは ... 」

ヒトミ  「そう ... イブキ ユウジって人よ ... 」

タクヤ  「イブキ ユウジか ... 」

ヒトミ  「それもあなたと同じ ... ソムリエよ... 」

タクヤ  「なんだって ...?!」


        SE:店のドアが開く音 -----


バーテン 「いらっしゃいませ ... 」

マスター 「いらっしゃいませ、ようこそ ... 」

男    「やっぱりここにいたね ... 」

ヒトミ  「! ... イブキさん ... 」

男    「やあ ... 」

タクヤ  「... こいつが ... ?」

男    「近くまで来たんで、ひょっとしたら君がいるんじゃないかと思ってね ...
      (少し笑って)今夜は勘が冴えてたな ... 」

ヒトミ  「イブキさん ... 今はその ... 」

男    「いやいや、お邪魔するつもりはないよ ... 久しぶりのご対面をね」

ヒトミ  「!... イブキさん ... 」

男    「その人なんだろう? 君の2年間を台無しした、ソムリエの彼というのは」

タクヤ  「... 何だと ... 」

マスター 「お客様 ... 」

男    「おっと ... 気に障ったなら謝るよ ... しかし、人のフィアンセを夜な夜な
      呼び出すようなことは、止めてもらいたいもんだね ... 」

ヒトミ  「フィアンセ ...?」

タクヤ  「口の利き方を知らない人なんだな ... あんたは」

男    「たとえ口の利き方を知らなかったとしても ... ワインの利き方は君より
      知ってるつもりだが ... 」

タクヤ  「どういう意味かな、それは」

男    「聞けば、ソムリエの勉強とやらで彼女をほったらかしでわざわざフランスへ
      行ったとか ... 
      そんな身勝手な君のために、彼女は2年間という時間を棒に振った... 」

タクヤ  「あんたにとやかく云われる筋合いはない ... 」

男    「確かにそうかもしれない ... だが、彼女にプロポーズをした一人の男として
      また同じソムリエとして、君に問いたいことがあるんだが ... 」

タクヤ  「俺に ... 問う?」

男    「彼女を置き去りにした2年間の成果は、一体どれ程のものなのかをね ... 」

タクヤ  「2年間の成果 ...?」

男    「君にとっての2年間がそれなりに有意義なものだったのなら、それはそれで彼女も
      納得できるだろう ... だがもし、そうでないとしたら ... 君は彼女とここに
      いるべきではないと思うのだが... 」

タクヤ  「何をどうしたいって云うんだ? あんたは」

男    「どうだろう ... テイスティングでその成果を問うというのは ... 」

タクヤ  「テイスティングで...?」

男    「いかがなものかな ...? フランス帰りのソムリエ君... 」

ヒトミ  「イブキさん ... 」

タクヤ  「 ... いいだろう... やってみようか ... 」

ヒトミ  「タクヤ ... 」



マスター  それは .....
      美貌のワインに魅せられた、二人のソムリエの出会いでした ...
      そしてそれは、男として ... またソムリエとしての
      プライドを賭けた駆け引きでもありました ...
      果たしてこのテイスティングの答えの向こうにあるものは -----






posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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