2011年07月09日

ミセス マティーニ -scene:4-




その時...
22枚の絵札たちを携えて
タロットが静かに語り始めた -----

まずは月を、次に恋人を...
やがて審判を伴い、運命の輪を連れて -----

そして最後には死神を...

果たしてこの暗示に導かれし運命(さだめ)とは -----



   女 「(少し笑い... )ウフフフ... ごめんなさいね、驚いた?」

マスター 「あまりいい言葉の響きではありませんね... 」

   女 「そうよね... でもこの場合は逆位置だから、意味もまったく逆になるの」

マスター 「ではどうなるんでしょうか... この場合は」

   女 「本来、正位置だとそのままのイメージで、死や不慮の事故を暗示するけど
      これが逆さまだと、好転する運命... つまり立ち直りを意味するようになるの」

マスター 「少しまぎらわしいですね... タロットの絵札の意味は... 」

   女 「確かにそうかも知れないわね。私もよく最初の頃はどぎまぎさせられたもの」

マスター 「... これで5枚のカードが出揃いましたが... 答えは出ましたでしょうか...?」

   女 「そうね... 大体は... 」


女性はゆっくりと時計に目をやり -----


   女 「(軽いため息)そっか... もうこんな時間か... 」

マスター 「待ち人来たらず、でしょうか...?」

   女 「そんなところね... マスターにはかなわないな... すべてお見通しって感じで」

マスター 「相すみません... これも仕事柄でしょうか... 毎夜こうしてカウンター越しに
      色んな方とお会いしますので... それとなく感じてしまいます... お客様の事を... 」

   女 「そうなんだ... なら、ひとつ質問してもいいかしら?」

マスター 「仰せのままに... 」

   女 「私は既婚者だと思う?」

マスター 「はい... ?」

   女 「人妻かな?」

マスター 「... 難しい質問ですね... でも... 」

   女 「でも?」

マスター 「なさってますね... きっと」

   女 「どうして? 第一、こんな時間にこんな場所で、人妻が一人でいるわけないでしょ?
      それに薬指に指輪もないし... どうみても独身じゃなくて?」

マスター 「ですから... 結婚されているのではないかと... 」

   女 「エッ?」

マスター 「どこから見ても一見独身風の女性が、わざわざそのような質問はされないかと... 」

   女 「(軽い笑い)ウフッ... 確かにいわれて見ればそうよね。私の負けだわ... ウフフフ... 」

マスター 「いつの間にか勝ってしまいましたね... わたくしが... 」

   女 「でもマスター... 私がここに来た理由はわからないでしょうね... 」

マスター 「それは... 神のみぞ知るというものでしょうか... 」

   女 「そうね... そうかもね...
      私、実はここで、ある男の人を待ってるの... それも夫以外の男性を... 」

マスター 「ご主人以外の...?」

   女 「そう... 俗にいう、不倫ってやつね... 」

マスター 「不倫... 」




posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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