2011年07月04日

bar friend 〜 希 望 〜 -scene:4-




つかの間...

同じ時間を同じ場所で、同じように過ごす男と女...
そこにお互いのプライベートはなく...
その瞬間だけがすべて...

込み入った話をすることもなく、含蓄を語る訳でもない...
ただグラスを傾け、少しばかりの酔いに任せて共に過ごす時間...
そんな酒場の仲間を、バー・フレンドと呼ぶ...


今宵その物語は、一通の手紙からはじまった----



バーテン 「これをお客様宛にと、お預かりしておりました... 」


差し出された一通の手紙-----


   男 「これを...?」

マスター 「先程お伝えしたご伝言と一緒に、渡してほしいとお預かりしたものです... 」

   男 「手紙を俺に...?」


男は手紙の封を切り、読み出した-----



   男  前略... 今夜の気分はどうですか?
      近頃、顔を合わさないので、皆目検討つきませんが、多分楽しく飲んでること
      だと思っています。

      やっぱり今夜も、いつものアレですか? 
      だとしたら、ホントにそのカクテルが好きなんですね。
      何しろ初めて会った時からずっと、そのカクテル以外のものを口にしてるのを
      見たことがないですからね。
      それにいつだって勢いに任せて、ラスト・カウントまでオーダーするんです
      から...
      ホント、無類のお酒好きなんですね。
      あまり身体には良くないと思います... 少しセーブした方がいいですよ。

      さて... ここから本題ですが...


彼女の声とオーバーラップしはじめた-----


    女 この間の件... 色々と考えてみました... 長い時間、考えました...
      どうすれば一番いいのかを... じっと一人で考えてみました...

      私もあなたのこと... 好きです...
      正直に言えば、出会ったあの時からです... 
      年甲斐もなく一目惚れでした...

      それでその気持ちは、夜毎あなたと会うたびに、募っていきました...
      今でもその気持ちに変わりはありません... これは本当のことです...
      私はあなたが、今でも好きです.....

      でも...
      私はこれ以上、あなたと一緒にいることが出来ません...
      何故なら... 私にはもう、時間がないんです...
      あの時のように、眩しい空を見ることや輝く風を感じることが...
      私にはもう出来なくなるから...
      だから、あなたの気持ちに応えることが出来ないんです.....

      ごめんなさい... 本当にごめんなさい.....

      このことは、本来会って直接お話しなければならないことなんですが
      それも今となっては叶わぬことで...

      あなたとは、今はこのまま、バー・フレンドのままがいいと思います。
      その方が、きっといいと思うんです.....

      私はそんなに強くない人間です...
      でも人を悲しませるぐらいなら、一人でいる方がいいと思うんです...
      その方が、きっといいんです...

      少し淋しくて、怖いけど... 頑張るつもりです... 最後まで希望を持って...
      私は逃げません.....

      こんな私にプロポーズしてくださって、ありがとうございました...

      もし今度... 一緒にグラスを傾けられる時があるのなら... 
      その時は... 私から改めてプロポーズしますね... 
      

      最後に、お願いです...

      今度ラスト・カウントまでお酒を飲んだ時には...
      最後のオーダーはレスポワールにしてください...
      私からのお願いです...

      それではお身体、ご自愛ください...
      さようなら....

      私の最愛のバー・フレンドへ.....

      レスポアールより-----




posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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