2011年07月31日

メロディー 【melody】




マスター  いらっしゃいませ、ようこそ .....
      今宵も「バール サンドリオン」へお越しいただき、誠にありがとうございます.....

      さて今夜は皆様に、ここ「バール サンドリオン」で馴染み深い楽曲の数々に
      ひと時耳を傾けて頂き、束の間の時間を過ごして頂ければと思っております .....

      ご紹介致します曲は、いずれもこの店での出来事に纏わる旋律ばかりで .....
      数々の笑顔や涙、その場面が蘇って参ります .....

      それではどうぞ、ごゆっくりお楽しみ下さいませ -----


                         [ barcendriillon - opening - ]







マスター  ボトル・バリエーション ...
      それは本来、ワインを取り巻く様々な環境や要因によって、同じワインでありながらも
      微妙な味わいや色調の違いが生じることをそう呼ぶのですが ...

      それはワインが人と同じく ... 長い歳月の中を、静かに生き抜いている証だとも
      いえるのであって ...

      ここバール・サンドリオンでも、そんな息づくワインたちのように ...
      このボトル・バリエーションによって今 ...
      一人の女性が微妙な変化を遂げたようです -----


                         [ ソムリエ [ Vintage.U] -final- ]








マスター  バー・フレンド...
      それは、行きつけの酒場で幾度となく顔を合わせていながらも、お互いの
      名も知らいまま、プライベートを語ることもなく.....
      ただその場の出会いにグラスを傾け合い、同じ時間を過ごす仲間-----

      そこには何の気負いもなく、何の煩わしさもない会話が交わされております...

      しかしひとたび... そのバー・フレンドという暗黙の関係がリズムを失うと...
      その酒場からグラスが一つ、消えていくと云われております-----

      バー・フレンド...
      それは一期一会にも似た、酒場という止まり木での出会いと別れ...
      今宵も飛ぶ鳥たちは... その運命(さだめ)にグラスを傾け、語り合う----


                         [ bar friend 〜 希 望 〜 -scene:final- ]







バーテン 「そう云えばマスター... あの方、ここしばらくお見えになりませんね... 」

マスター 「確かにそうね... 」

バーテン 「もし今夜辺りお見えになれば、さぞかし驚かれるでしょうね...
       何しろ、溺愛のメーカーズマークをオーダーされる方が、もう一人現れたん
       ですからね... 」

マスター 「そうでしょうね...
       でも、もう... お見えになることはないでしょうね、きっと... 」

バーテン 「エ ... ?」

女    「このバーボン... とても美味しいわよ、あなた...
      これならもっと早く、一緒に飲めばよかったわね..... 」


                         [ 止まり木 / 第一夜 -scene:final- ]







マスター  止まり木とは.....
      それは流離い飛ぶ鳥の、翼休めし静寂の場-----

      また止まり木とは.....
      それはつかの間の微睡みに、刹那の夢見し安逸の場-----

      そして止まり木とは.....
      それは夜の帳に覆われた街に、ひっそりと佇む静穏の酒場-----

      今宵も「バール サンドリオン」へお越しいただき、誠にありがとうございました...

      またのお越しを、心よりお待ちしております .....




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2011年07月30日

千夜一夜 / ハートカラー -final- 





マスター  今宵も「バール サンドリオン」へお越しいただき、誠にありがとうございました...
      ではここで... 今回登場致しましたカクテルを、改めてご紹介させて頂きます...

      カクテルの名前は、「ハート・カラー/Heart Colour」.....
      揺れ動く心をイメージして創作されたカクテルと聞いておりますが
      その真意の程は、誰も知る由のないところであります .....

      イタリアの代表的なリキュールであるカンパリを使い、そのカンパリ特有の苦味と
      オレンジジュースの甘みで、心という微妙でナイーブなものを表現した一品です -----

      さてここレシピのご紹介ですが... 
      オールドファッショングラスに氷をいれ、そこへバーボンウイスキー(45ml)と
      カンパリ(15ml).....
      それにオレンジジュース(30ml)とレモンジュース(2tsp)を入れ軽くステアすれば
      出来上がりです。

      綺麗なオレンジ色した色合いのやさしいこのカクテルは、皆様のハートをどんなカラーに
      染めてくれるのでしょうか .....?
      是非一度、お試し下さい -----

      それでは .....
      またのお越しを、心よりお待ちしております .....

      ありがとうございました -----




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2011年07月29日

千夜一夜 / ハートカラー -scene:4- 





         :サンドリオンの店内 -----


バーテン 「それにしても ... そんな謂れがあるカクテルのレシピを、よくご存知でしたね ... 」

男    「その答えにも、謂れがあるということにしておこう ... 」

涼 子  「その答えは、ひとつしかないと思うんですが ... 」

男    「というと?」

涼 子  「それは、ご自身が飲まれたということではないんでしょうか ... 」

男    「なるほど ... それが一番手っ取り早くて、理に適った答えだろうな ... 」

涼 子  「違うんでしょうか .... ? それ以外には ... 」

男    「この際、そんなことはどうでもいいことなんだ、お嬢さん」

涼 子  「エッ ... ?」

男    「肝心なのは、昔、港の場末の酒場で、たった一度しか作られなかったカクテルが
      存在してたってことなんだよ」

バーテン 「存在の証し ... 」

男    「そういうことだな ... 」

涼 子  「でもどうしてそのカクテルを、わざわざここでオーダーされたんでしょうか?」

男    「私はこのカクテルが好きだ ... 好きなんだ ...
      だからこのカクテルを飲める場所をずっと探してた ...
      伊達や酔狂の半端な酒場では、決して口にしたくなかったからな ... 」

涼 子  「それでこのお店を選ばれた ... 」

男    「もっとも ... マスターに会って話しをすれば、きっと理解してくれたと思うんだが ...
      生憎と私も巡り合わせが悪いようで、今夜も会えなかったが ... 」

バーテン 「恐れ入ります ... 」

男    「ともかくバーテンさん ... さっきの話、マスターに伝えておいてくれるかな」

バーテン 「かしこまりました ... 確かに」

涼 子  「エ? もうお帰りなんですか?」

男    「例のごとく ... そろそろ眠気が勝ってきたんでね ... 年寄りは退散するよ」

涼 子  「そうですか ... 残念です。その女性バーテンダーの話を、もっとお伺いしたかった
      です ... 」

男    「多分、そうだろうな ... お嬢さんにすれば興味津々の話だろうからな」

涼 子  「でもまたお会い出来ますよね、ここで」

男    「ああ、そうだな ... 約束は出来ないが、またいつか会いたいね、お嬢さん」

涼 子  「私、楽しみにしてますから ... 」

男    「ああ、私も楽しみにしてるよ ... それじゃ、その時まで」

バーテン 「ありがとうございました、藤堂様 ... お気をつけて ... 」

涼 子  「おやすみなさい ... 」

男    「おやすみ .... 」


        SE:ドアの閉まる音 -----


バーテン(Na) その店の名は「バード・バー」-----

      どこにあったのか詳しい場所は聞いておりませんが ... 
      時折、店の小窓から潮風がやって来て、カクテル・グラスと遊んでいたそうですから
      きっと、港のある街の一角にでもあった酒場なんでしょうね .....

      店の雰囲気はこの店とよく似てたらしいですが .....
      マスター曰く、この店が似ていると云うべきなんだそうです .....

      その店に訪れる人は、それぞれの思いをグラスにブレンドしながら漂うように流れる
      ジャズと、静かに通り過ぎて行く時間の中で、束の間の夢と戯れてたそうです .....

      「バード・バー」..... それはまさにその名のとおり .....
      飛ぶ鳥たちの翼を休める、心の止まり木のような場所であったようです -----

      そしてこの酒場はその昔 .....
      私共のマスターが、シェイカーを振っていた店だと聞かされました -----






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2011年07月28日

千夜一夜 / ハートカラー -scene:3- 





         :サンドリオンの店内 -----


涼 子  「初めて聞くカクテルの名前 ... 」

バーテン 「実は、私も知らないカクテルでしたので、レシピを教わりながら作らせて頂いた次第でして」

涼 子  「このカクテルって、以前からあったものなんでしょうか ...?」

男    「そうだね... ずっと前からあったと言えばあったし、なかったと言えばなかった ...
      そんなカクテルだな ... 」

涼 子  「それって ... どういう意味なんでしょうか ...?」

男    「今言ったままだよ、お嬢さん」

涼 子  「今言ったままって ... 」

バーテン 「つまりその ... 昔は存在していたが、今はもう忘れられたものと ... 
      そういう意味合いなんでしょうか ...?」

男    「ン ... 当たらずとも、遠からずってところかな ... 」

涼 子  「それじゃ ... それはこういうことじゃないでしょうか ...
      昔 ... どこかのお店のオリジナルとして、そこだけで飲まれていたカクテルで
      そのお店がなくなってから、そのカクテルも消えてしまったとか ... 」

男    「(ゆっくりと一口飲み)そうだな ... とにかくうまい酒を飲ませる酒場だった ...
      店の雰囲気は、そう ... ちょうどこことよく似てたような気がするな ...
      ただその店は港の近くにあって、よくその店の小窓から潮風が遊びにやって来ては
      カクテルグラスと戯れてたよ ... 」

バーテン 「店の小窓から、潮風 ... 」

男    「漂うように流れるジャズは、静かにグラスに溶け込んで、そこでは時間までもが
      ゆっくりと、静かに流れてた ... 」

涼 子  「それって ... まるで同じですよね、この店と ... 」

男    「だからその店にやって来る連中は、みんなその雰囲気の中で、それぞれの思いを
      グラスの中にブレンドして、束の間の時間を過ごしてたんだ ... 」

バーテン 「そんな酒場で飲まれてたんですね、このカクテルが ... 」

男    「店には一人の女性バーテンダーがいて ... その彼女が考案したのがこのカクテル
      だった ... 」

涼 子  「そうだったんですか ... 」

男    「彼女は口数の少ない熱心なバーテンダーで、日毎夜毎マスターから客の扱いや
      いろんな酒の知識を吸収してたな ...
      特にカクテルのレシピやテクニックに関しては、相当なレベルのものだった」

バーテン 「まるで ... うちのマスターのような女性だったんですね ... 」

男    「(少し笑って)そうかもしれんな ... 」

涼 子  「ハートカラーか ... 」

男    「このカクテルは ... そんな彼女が、後にも先にもたった一度しか作らなかった
      ものなんだ ... 」

涼 子  「たった一度っきり ... ?! 」

男    「そうだ ... たった一度だけ作ったカクテルなんだ ... それも、涙を添えてな ... 」

涼 子  「涙を ... 」

バーテン 「添えて ... 」






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2011年07月27日

千夜一夜 / ハートカラー -scene:2- 






         :サンドリオンの店内 -----


涼 子  「(ポツリと)私って ... ホント、相性が悪いのかもしれませんね、マスターと ... 」

バーテン 「その辺りのことは、何と表現すれば適切なのか ... まったくもって、その ... 」

涼 子  「いえいえ ... いつもながらのことですから、気にしないで下さい」

バーテン 「しかし ... お久しぶりにお見えになられたというのに、よりによってまた ... 」

涼 子  「そう ... まさか、またマスターがいらっしゃらないなんて、私も思いませんでしたよ」

バーテン 「本当に、申し訳ありません ... 」

涼 子  「いいえ、とんでもないです ... 
      それより今となっては、マスターにお会いする事だけで、寄せてもらってる訳じゃない
      ですから ... 」

バーテン 「と、申されますと ...?」

涼 子  「このお店に訪れるいろんな方の話を聞くのもためになるし、勉強にもなりますから ...
      それだけでも、結構楽しみになってるんですよ、今の私には」

バーテン 「そう云って頂くと ... 少しばかり救われます... 」

涼 子  「それに ... 」

バーテン 「それに ...?」

涼 子  「こうしてバーテンさんとお話しするだけでも、それはそれで楽しいし ... 」

バーテン 「(少し照れて?)ああ、それはどうも ... ありがとうございます ... 」

涼 子  「それにしても ... このお店に来ると、ホント落ち着くんですよね ... 」

男    「確かにそれは言えるね ... お嬢さん」

涼 子  「エ ...?」

男    「私のことはもう忘れたかな ... 」

涼 子  「あ、はい ... あのう ... 」

男    「それじゃ、バーテンは失格だな ... 一度でも酒の話を交わしたことのある人の顔を
      忘れるなんてのは ... 」

涼 子  「お酒の話 ... 」

男    「とは言っても ... 少しばかり前のことだからな ... 無理もないか ... 」

涼 子  「 ... 」

男    「なら ... このレシピを言えば思い出してくれるもしれんな ... 」

涼 子  「レシピ ...?」

男    「ライ・ウイスキー(1/2)とドライ・べルモット(1/4)...
      それにカンパリ(1/4)をステアすれば出来上がる ... これでどうかな?」

涼 子  「ライ・ウイスキーにドライ・べルモット、それにカンパリだと ...
      あ ... これって、カルキュレーション ... もしかしてあの時の ...!」

男    「思い出してくれたようだな ... 」

涼 子  「オールド・パル ... 」

男    「流石だね、お嬢さん ... 」

涼 子  「すみませんでした ... 私うっかりしてて ... 」

男    「いや、一向に構わんよ ... 無理もないことだからな ... 
      何せここであの夜話をしてから、今夜で二度目のことなんだからなァ ...

バーテン 「そうですね ... あれから季節がひとつ変わりましたから ... 」

男    「早いもんだな ... 時間が経ということは ... 」

涼 子  「もしかして ... 今夜があの時以来なんですか? ここへいらっしゃるのは」

男    「そういうことになるかな ... 」

涼 子  「それで ... こうしてまたここでお会い出来るなんて ... 」

バーテン 「こう言ってはなんですが ... 
      マスターが引き合わせたと言えるのかも知れません ...」

涼 子  「マスターが ... 」

男    「確かにそうかも知れんな ... 」

涼 子  「それで今夜は、何をオーダーされたんですか?」

男    「 ... 」

涼 子  「やっぱりあの時と同じもので ...?」

男    「いいや ... それが残念ながら違うんだ ... 」

涼 子  「 ...?」

男    「今夜はこいつなんだ ... 」

涼 子  「そのカクテルは ... 」

男    「こいつは『ハート・カラー』ってやつなんだ ... 」

涼 子  「ハート・カラー ... 」





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