2011年06月23日

千夜一夜 / アラカルト -scene:3-


その夜は... 彼女との思い出の一夜となった-----

どこかしら翳りがあり...
それでいてその微笑に屈託のない、その女性との出逢い...

それは彼女に纏わる話しから始まった-----



微かにジャズが流れる店内----


   男 「それで... 店はどこに?」

   女 「宝塚です... 」

   男 「花のみち、宝塚か... 」

バーテン 「それで色々とご存知だったんですね... 」

   女 「すみません... 別にそんな気はなかったんですが... 」

バーテン 「いいえ、とんでもないです...  こちらこそ勉強になりましたから... 」

   男 「それにしても凄いね... ひょっとすると、ここのマスターにも引けを
      とらないんじゃないかな... 」

   女 「それはないと思います... 」

バーテン 「ご存知なんですか... ? マスターを」

   女 「いえ... お会いしたことはないんですが...  お噂はかねがね... 」

   男 「そうか... ここのマスターは同業にも知られてるのか... 流石だな... 」

   女 「実は私...  そのマスターにお会いしたくて、今夜はここへ来たんです」

バーテン 「そうでしたか... 」

   男 「だが生憎とマスターは留守だった... 残念だったね」

バーテン 「誠に申し訳ございません... 」

   女 「いいえ... とんでもない... 」

   男 「どうだろう... 彼女も同業でありながら、わざわざ宝塚から来たことだし
      もう少しさっきの話に花を咲かせてみては... 」

バーテン 「賛成ですね... いかがですか? お客様は」

   女 「喜んで... 」

バーテン 「ありがとうございます... 」

   男 「それじゃ早速だが...  共にバーテンダーであるお二人に伺おう... 」

   女 「はい... 」

バーテン 「何でしょうか...?」

   男 「3ボトル・バーとは、一体何のことかな... ?」

   女 「3ボトル・バー...?」

   男 「どうかな? 我らがバーテン君は」

バーテン 「それなら、知っております... 」

   男 「オッ、流石だな...  聞かせてくれたまえ」

バーテン 「3ボトル・バー...  それは、確か今から50年以上前に、ロンドンで発刊された
      カクテルブックのタイトルで、ウイスキーとジン、それに白ワインの3種類が
      揃えば、カクテルパーティーが出来るというコンセプトで書かれたものだと聞いて
      おります... 」

   女 「なるほど...  そういうことか... 」

   男 「案外やるな...  バーテン君も」

バーテン 「恐縮です...  そもそも3種類のお酒の選択が、少々イギリス人の好みに偏って
      ますが...  要は3という数字がカクテルにとってポイント・ナンバーであると
      いうことですね」

   女 「事実、そうですものね...  カクテルには3つの材料、それどころか1、2種類の
      お酒でその味が決まるものが多い... 」

   男 「だからこそ、混ぜ合わせる種類を出来るだけ少なくし味わいを出すことが、優れた
      カクテルの条件と云えるかもしれないな... 」

バーテン 「そうですね...  それに尽きますね... 」

   男 「さて、今度は君の番だ...  それなりの話を聞かせてくるかなか」

バーテン 「でも私は... 」

   男 「今の調子でいいんだよ」

   女 「何か聞かせてください... お願いします」

   男 「マスターの留守を預かってるんだろ... 何とかしろよ」

バーテン 「... はい... わかりました...  それでは、カクテルのカルキュレイションを... 」

   女 「カルキュレイション...?」

   男 「なるほど、計算ってわけか... 」

   女 「カクテルの、計算...?」




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posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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