2011年06月21日

千夜一夜 / アラカルト -scene:1-







今夜は... 私の話をご紹介しよう-----

それは... この街を旅立つ前夜のこと...
生憎とマスターは不在だったが、ある女性のお陰で
それなりに楽しく過ごせた一夜となった-----



いつものように、静かに時が流れる店内----


   男 「やっぱりここが、一番性に合ってるんだな... 」

バーテン 「たまにいらっしゃると、いいことをおっしゃるんですね... 」

   男 「ということは何かな、バーテン君... いつも来てるとロクなことしか
      言わないってことかな?」

バーテン 「いいえ... 決してそんなことだとは... 」

   男 「男、三十過ぎたら... もう少し気の利いたこと言わなきゃ、単なる中年の
      オジさんで終わるぞ... もう少し勉強した方がいいな」

バーテン 「勉強? 勉強って、何の勉強でしょうか?」

   男 「嗜みだよ」

バーテン 「嗜み... ですか?」

   男 「そう嗜み... たとえば、少なからずとも君の場合は、そうしてカウンター越しに
      シェーカーを振るバーテンダーだ... 」

バーテン 「はい... 確かに... 」

   男 「なら、そのバーテンとして、王道を極めるための色んな嗜みを踏まえることが
      君を単なる中年で終わらせない秘訣になるんじゃないかな... 」

バーテン 「少し酔われてませんか? 藤堂様... 」

   男 「ン... そうかも知れない、かも知れない... 」

バーテン 「マスターが留守の時は、三の線ですね、藤堂様... 」

   男 「やっぱり駄目だな... 今日は調子が良くない... 悪酔いかな... 」

バーテン 「私のせいだなんておっしゃらないでくださいよ... 」

   男 「いやいや... これはマスターがいないせいだな... 」

バーテン 「同じゃないですか... 」

   男 「言葉の解釈は個人の自由だ... 気を悪くしないでほしいな... 」

バーテン 「...参りました... 」


そこで私は何気にタバコをくわえ、火を点けた...
愛用のジッポーで....
そしてゆっくりと一口-----


   男 「ところでバーテン君... さっきの嗜みの話だが... 」

バーテン 「今度は真面目なお話のご様子ですね... 」

   男 「名誉挽回だよ」

バーテン 「なるほど... 」

   男 「その嗜みになるような、こんな話は知ってるかな...?」

バーテン 「それはどのような...?」

   男 「今、君の後ろに置いてある... そのボトルの話だよ」

バーテン 「後ろのボトル... ですか?」

   男 「そう... しゃがれたそのボトルだよ... 」

バーテン 「これは... オールド・パー」

   男 「それだ... そのウイスキーに纏わる話だよ... 」

バーテン 「オールド・パーに纏わる話... 」

   男 「君はそのウイスキーの由来... 知っているかな?」

バーテン 「いいえ... 生憎とこのお酒については何も... 」

   男 「実はその名前は... 」

   女 「...トーマス・パー... 確か人の名前ですよね... 」

   男 「よく知ってますね... お嬢さん... 」

   女 「あ、すみません... つい口を挟んだりして... 」

   男 「いいや、一向に構いませんよ。それより、その続きを聞かせてもらいたい
      ものですね... お嬢さん... 」

バーテン 「私からもお願いします... お客様... 」

   女 「あ... はい... 」




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posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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