2011年06月19日

止まり木 / 第一夜 -scene:4-


   --- 止まり木とは.....
     それは夜の帳に覆われた街に、ひっそりと佇む静穏の酒場...


このマスターのメッセージに、翼休めし迷い鳥は...
今宵、この止まり木で何を想う-----



   --- その方は時折ふらりとこの店に、お一人でお見えになる方でした.....
     いいえ... お名前は生憎と存じ上げませんが...
     ただ... 多分、奥様のことでしょうね... いつも話されてました-----


回想-----


   男 「男の夢ってやつは... どうもいけないなァ... 」

マスター 「... どうしてでしょうか... ?」

   男 「どうも身近にいる人を傷つけてるようで... 」

マスター 「そうでしょうか... ?」

   男 「少なくとも、俺の場合はそうなんだよ、マスター... 自分の夢のために
      一番身近にいる、一番大事な人間を傷つけてるようなんだ... 」

マスター 「身近にいらっしゃる方が、そう云っておられるのでしょうか...?」

   男 「いや、それはない... それはないんだが、俺はそう感じてるんだ... 」

マスター 「それは... お客様の思い過ごしではないでしょうか... 」

   男 「思い過ごし?」

マスター 「人を傷つける人間のそばには、孤独しか存在しません...
      お客様は今、孤独なのでしょうか...?」

   男 「いいや... 俺のそばにはいつもあいつがいてくれる... どんな時でも... 」

マスター 「それでしたら、決して傷つけているとは云えないのでしょうか... 」

   男 「でもなァ... 」

マスター 「ご事情はわかりかねますが... どんなに辛くとも、どんなに苦しくとも
      お客様のそばにいるだけで、その方は満足されておられるのではないでしょうか... 」

   男 「俺のそばにいるだけでか... 」

マスター 「不幸だと感じるのは他人ではなく、自分自身です... 他人が感じることでは
      ないように思います... 」

   男 「でも... 今の俺には何もない... 金も地位も名誉も... そんな男に... 」

マスター 「たとえ何もなくとも... お客様ご自身がそばにいらっしゃるだけで、その方は
      満足されているのでは... 」

   男 「こんな売れない役者の... こんな駄目な男のそばにいるだけで、満足してるってのか
      あいつは... 」

マスター 「そのメーカーズマークのボトルにある封ロウのように...
      お客様自身、この世の中に二人といらっしゃるわけではございません...
      かけがえのない存在なのですから... 」

   男 「かけがいのない存在... 」




- Recommended menus 1 -


posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
blogramで人気ブログを分析 にほんブログ村 小説ブログ 脚本・シナリオへ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。