2011年06月10日

時 間 -scene:final-




         時間に目を背けたとき...
         そこから先はただ流されるだけ...
         時間という流れの中にさ迷うように...

         彼もまたこのまま目を背けたまま
         時間に流されるのだろうか.....


         カクテルグラスにデコレートされたチェリーを見つめながら...
         彼は自分を反芻していた -----


男(Na)  今までのオレは、いつもあいつを待っていた...
      どんなにケンカをしても、それでしばらく会わなくても、表面上は
      気取って偉そうにしていながらも、心の中ではあいつのことを
      それなりにずっと待ってた...
      それもこれも... 結局オレの元へ帰ってくるという、変な自信があったから...

      束の間、他の男と一緒にいたとしても...
      たとえ別の男と楽しそうに遊んでたとしても...
      それはそれで確かに頭にはくるけど、あいつはそれでもオレの所へ戻って
      きた... 何もなかったような顔をして、ニッコリ笑いながら...

      最初はホントになんて女だと、呆れもし疑いもした...
      こんな奴といても仕方ない... 別れた方がいいと、何度かそう思ったりもした...
      けれど気がつくと...
      結局いつもあいつがそばにいて、楽しくワイワイ過ごしてた.....

      多分オレの場合... 女運のない、根っからの馬鹿なんだとそう思う...
      だから逆に... あいつみたいな女がちょうどいいのかもしれない...

      オレは ... オレは ...


         その瞬間、彼は静かに席を立ち...
         マスターに一言告げた -----


男    「賭けてみます... 」


         彼は店を出た.....


男(Na)  オレは海岸沿いを走りぬけ、タクシーを止めようとしていた...
      少し荒い息遣いと、通り過ぎて行く車の音 -----

      海岸通りまで出て、やっとタクシーに乗り込み、息急き切ってたオレが
      行き先を告げ、車は一路神戸モスクへ...

      辺りは静かな夜の風景...
      街灯がリズム良くオレの目の前を通過する...

      オレはポツリと呟いた...

     「... いてくれ... 」

      それから程なくして、車が止まった...
      ドアが開き、走り出す車...

      そしてそこにあいつは...



         店の電話が鳴った...

         マスターが受話器を取り、応対をする -----


マスター 「はい、バールサンドリオンでございます...
      ..... 左様でございますか... それではお待ちしております... 」


         マスターはそう言って、ゆっくりと受話器置いた...
         そしておもむろに話しはじめた -----


マスター 「先程のお客様からお電話があり、受話器の向こうでこうおっしゃって
      おられました... 」

         何と... ?

マスター 「はい... ハートのA(エース)で賭けに勝ったと..... 」


         その夜... 彼は賭けに勝った -----


[ recipe ]
posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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