2011年06月02日

呪 文 -scene:3-




     呪文...

     何か困った事が起きた時や、何かを成さねばならない時に囁くと
     不思議とその事柄が上手くいき、成就させてくれる言葉...
     時にはそれが片言だったり、長い文言だったりするようで...
     私にもそんな呪文めいた言葉があったような...

     そうだな...
     強いて云えば、あの時にマスターに教わった「アブダ、カタブラ」...かな?


     そうそう...その時の話...
     昨夜の続きを話さなきゃいけない...


     あの時、マスターは電話の応対をしていた -----



マスター 「はい、バール サンドリオンです...
      ----いいえ。そのような方は、お見えになっておられませんが...
      ----はい? お店の場所でございますか? こちらは海岸通りにござい
      まして...」


     ふと、重厚な店のドアが開いた... 訪れたのは二人の女性 -----


マスター 「---- はい。それでは、お待ちしております... 」


     マスターが受話器を置き、静かな声でその二人の女性を迎えた -----


マスター 「いらっしゃいませ...」

チアキ  「... こんばんは... 」

ナツコ  「... どう? 彼、来てるの?」

チアキ  「ううん... まだみたい」 

ナツコ  「まさかとっくに来て、もう帰ったってことじゃないでしょうね」

チアキ  「そんなはずは... だってまだ12時になってから10分も経ってないのに... 」

ナツコ  「でもわかんないよ... ひょっとしたら... 」

マスター 「ようこそ、いらっしゃいませ... 何方かとお待ち合わせでしょうか?」

ナツコ  「あ、はい。彼とここで」

マスター 「さようでございますか... では、どうぞお掛けください... 」

チアキ  「どうも... 」

ナツコ  「あの... 」

マスター 「はい...?」

ナツコ  「12時頃に若い男の人がここに来て、すぐに帰ったってことなかったですか?」

マスター 「つい、今しがたのことですね... 生憎とその時間には、それらしいお客様は
      お見えにはなりませんでしたが... 」
  
ナツコ  「そうですか... 」

チアキ  「やっぱりまだ来てないんだ... もしかしたらもうこのまま来ないのかも... 」

ナツコ  「何言ってるのよ。答えはまだ出てない! 
      とにかくしばらく待ってみようよ、せっかくここまで来たんだからさ」

チアキ  「... そうね... だよね... 」

マスター 「ご注文の方は、いかがいたしましょうか...?」

ナツコ  「ン... じゃ私はオレンジ・ブロッサムを」

マスター 「こちらの方は...?」

チアキ  「えーっと、私は... 」

ナツコ  「ああ、彼女も同じものでいいです」

マスター 「かしこまりました... 」

チアキ  「もー、どうしてそうなるのよぉ〜」

ナツコ  「あなたの場合、時間かかるでしょ、いつも。だから」

チアキ  「... それはそうだけど... もう、ナツコったら... 」


     タンブラーグラスに氷が入れられ...
     そこへジンとオレンジジュースが注がれる...
     そして仕上げに、マスターの手際よい軽いステア -----


チアキ  「.... 来るかな、彼... 」

ナツコ  「そればっかりは、私にも何とも言えないけど... 」
  
チアキ  「...ああ... こんな時、魔法が使えたらいいな... 」

ナツコ  「魔法...?」

チアキ  「そう、恋の魔力みたいな... 」

ナツコ  「恋の魔力...?」

チアキ  「それで彼を呼び寄せるのよ... 」







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posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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