2011年06月20日

止まり木 / 第一夜 -scene:final-


   --- 止まり木とは.....
     それは流離い飛ぶ鳥の、翼休めし静寂の場-----

     また止まり木とは.....
     それはつかの間の微睡みに、刹那の夢見し安逸の場-----

     そして止まり木とは.....
     それは夜の帳に覆われた街に、ひっそりと佇む静穏の酒場-----

     そして今宵、その止まり木で-----



   女 「そうですか... そんなことを... 」

マスター 「そのような話をされながら、よくこのバーボンを口にされておられました... 」

   女 「かけがいのない存在... そうでしたね、確かに... 」

バーテン 「え... ?」

   女 「いえ... それよりその人は、いつもどの辺りに座ってたんでしょうか... 」

バーテン 「はい... いつもこのカウンターの端辺りで、じっくり味わっておられましたが... 」

   女 「そうですか... 」

バーテン 「何か...?」

   女 「すみませんが... あちらへ移ってもいいでしょうか...?」

マスター 「はい... どうぞご自由に... 」


そう云って、その女性は席を移った...
カウンターの端辺りへ-----


バーテン 「そう云えばマスター... あの方、ここしばらくお見えになりませんね... 」

マスター 「確かにそうね... 」

バーテン 「もし今夜辺りお見えになれば、さぞかし驚かれるでしょうね...
      何しろ、溺愛のメーカーズマークをオーダーされる方が、もう一人現れたん
      ですからね... 」

マスター 「そうでしょうね...
      でも、もう... お見えになることはないでしょうね、きっと... 」

バーテン 「エ?」

   女 「このバーボン... とても美味しいわよ、あなた...
      これならもっと早く、一緒に飲めばよかったわね..... 」






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2011年06月19日

止まり木 / 第一夜 -scene:4-


   --- 止まり木とは.....
     それは夜の帳に覆われた街に、ひっそりと佇む静穏の酒場...


このマスターのメッセージに、翼休めし迷い鳥は...
今宵、この止まり木で何を想う-----



   --- その方は時折ふらりとこの店に、お一人でお見えになる方でした.....
     いいえ... お名前は生憎と存じ上げませんが...
     ただ... 多分、奥様のことでしょうね... いつも話されてました-----


回想-----


   男 「男の夢ってやつは... どうもいけないなァ... 」

マスター 「... どうしてでしょうか... ?」

   男 「どうも身近にいる人を傷つけてるようで... 」

マスター 「そうでしょうか... ?」

   男 「少なくとも、俺の場合はそうなんだよ、マスター... 自分の夢のために
      一番身近にいる、一番大事な人間を傷つけてるようなんだ... 」

マスター 「身近にいらっしゃる方が、そう云っておられるのでしょうか...?」

   男 「いや、それはない... それはないんだが、俺はそう感じてるんだ... 」

マスター 「それは... お客様の思い過ごしではないでしょうか... 」

   男 「思い過ごし?」

マスター 「人を傷つける人間のそばには、孤独しか存在しません...
      お客様は今、孤独なのでしょうか...?」

   男 「いいや... 俺のそばにはいつもあいつがいてくれる... どんな時でも... 」

マスター 「それでしたら、決して傷つけているとは云えないのでしょうか... 」

   男 「でもなァ... 」

マスター 「ご事情はわかりかねますが... どんなに辛くとも、どんなに苦しくとも
      お客様のそばにいるだけで、その方は満足されておられるのではないでしょうか... 」

   男 「俺のそばにいるだけでか... 」

マスター 「不幸だと感じるのは他人ではなく、自分自身です... 他人が感じることでは
      ないように思います... 」

   男 「でも... 今の俺には何もない... 金も地位も名誉も... そんな男に... 」

マスター 「たとえ何もなくとも... お客様ご自身がそばにいらっしゃるだけで、その方は
      満足されているのでは... 」

   男 「こんな売れない役者の... こんな駄目な男のそばにいるだけで、満足してるってのか
      あいつは... 」

マスター 「そのメーカーズマークのボトルにある封ロウのように...
      お客様自身、この世の中に二人といらっしゃるわけではございません...
      かけがえのない存在なのですから... 」

   男 「かけがいのない存在... 」




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2011年06月18日

information


今宵も「バールサンドリオン」へお越し頂き、誠にありがとうございます...

このお店の歴史や、私マスターのことをお知りになりたい方は
次のお席の方へお移り頂ければと思います...


それではよろしければ、どうぞ.....



http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3
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止まり木 / 第一夜 -scene:3-


   --- また止まり木とは.....
     それはつかの間の微睡みに、刹那の夢見し安逸の場-----


このマスターのメッセージに、翼休めし迷い鳥は...
今宵つかの間の微睡みに、どんな刹那の夢を見るのか-----


マスター 「先程も少しご説明いたしましたように、ウイスキーは大きく5つの種類に
      分けられておりまして、このバーボンはその中でも、アメリカン・ウイス
      キーに属するお酒なんです... 」

   女 「そうなんですか... 」

バーテン 「そのアメリカのウイスキーには、元々色々なタイプがあるんですが、
      その昔、連邦のアルコール法でそれぞれのタイプによって、原料や
      製造法などについて規定を設けたのです。
      その中でバーボンウイスキーについては、原料となる穀物の51%以上が
      トウモロコシであることや、熟成には内側を焦がした新しいホワイト
      オークの樽を使用しなければならないといったような、他にもいろんな
      規定があるんです」

マスター 「それらの条件をすべてクリアしたものだけが、バーボンウイスキーと
      呼ばれているのです」

   女 「知らなかった... そんなこと... 今まで単なる琥珀色したお酒だと
      思ってた... 」

マスター 「バーボンのその琥珀色は...
      ホワイトオークの樽に培われた、熟成の色合いと云えますね... 」

   女 「この香りと味... そしてこの色合いは、歴史が醸し出したものなのね... 」

バーテン 「中でもこのメーカーズマーク・ゴールドトップは、生産量が極めて少ない
      ものですから希少価値の高いバーボンとして名高い逸品なんです... 」

   女 「そうでしたか... 」

マスター 「実は、この店にそんなバーボンを置いていることをご存知の方は、たった
      お一人だけでして...
      その方以外、オーダーをされる方はいらっしゃらないんです」

   女 「それじゃ... 私が二人目ということ... 」

マスター 「そうなりますね... 」

   女 「珍しいんですね... このお酒を注文することって... 」

マスター 「そうなりますね... 」

バーテン 「そういえば... そのお客様もよく言っておられました...
      このバーボンがこの店にあることを知ってるのは、俺ぐらいなもんだろうと
      ... 」

   女 「そうですか... これって、そんなお酒だったんですか... 」

マスター 「メーカーズマークは、限りなく手造りに近い手法に徹し、品質を重視した
      少量生産を貫いた希少なバーボンで、そのポリシーは創業当初から今に至る
      まで、変わらなく受け継がれている...
      そのこだわりがこのバーボンの命なんだと... そうもおっしゃられていました」

   女 「... あのう... 」

マスター 「はい... なにか...?」

   女 「もし良ければ... その人の話を聞かせて頂けませんでしょうか...?」

マスター 「...エ?」




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2011年06月17日

止まり木 / 第一夜 -scene:2-


   --- 止まり木とは.....
     それは流離い飛ぶ鳥の、翼休めし静寂の場-----


このマスターのメッセージに、翼休めし迷い鳥は...
今宵、何を求めこの止まり木へ-----



バーテン 「ご注文は、いかがいたしましょう...?」

   女 「あのう... ウイスキーをいただけますか?」

バーテン 「ハ? ハイ... 何かご指定のものはございますか?」

   女 「銘柄...?」

バーテン 「はい... ウイスキーにも色々と種類がございまして、スコッチ、アイリッシュ
      カナディアン、アメリカン、そして国産物と概ね5つのタイプとなるのですが... 」

   女 「そんなに種類があるんですか... 」

バーテン 「それぞれにおのおのの特徴がありますので、お好みのものをご指定頂ければと
      思いまして... 」

   女 「そうですか... でも私... 」

バーテン 「...どうかなさいましたか...?」

マスター 「失礼ですが、お客様..... もしかしてウイスキーを口にされたことがないのでは?」

   女 「エ? エエ... 実はそうなんです... 私、元々お酒は駄目な方で..... 」

バーテン 「それでしたら... カクテルにでもなさった方が... 」

   女 「いいえ、それには及びません... それより私、どうしてもウイスキーを飲みたいん
      です... 」

バーテン 「ハァ... 」

マスター 「あくまでもウイスキーに拘られるのですね... 」

   女 「今夜だけはどうしても... 私、飲みたいんです..... 」

マスター 「... 余程のご事情なんですね... 」

   女 「いいえ... そんな大した理由でもないんです... ほんの些細なことなんですよ...
      ほんの些細な... 」

マスター 「... 承知いたしました」

バーテン 「マスター...」

マスター 「それでは、そのお飲みになりたいウイスキーですが、何でもよろしいのでしょうか?
      それとも銘柄か何かをご存知ではないでしょうか...?」

   女 「そういえば... 確かメーカーズだとか何とか... 」

バーテン 「それなら多分、メーカーズマークのことじゃないでしょうか?」
  
   女 「そう... そんな名前だった... メーカーズマーク... そう、それです」
  
バーテン 「しかしそのメーカーズマークにも色んな種類があるんですが... 」
  
   女 「それは... ゴールドタイプと聞いた気がします... 」

マスター 「おそらくそれは、ゴールドトップのことでしょうね... 」

   女 「メーカーズマーク、ゴールドトップ.... そうです... それに間違いないわ...」

バーテン 「かしこまりました... 今、ご用意いたします...」


ロック・グラスにランプ・オブ・アイス... つまり握りこぶし大ぐらいの氷が入れられ
そこへゆっくりとバーボンが注がれる-----


マスター 「それにしましても... お酒を召し上がらないお客様が、よくご存知でしたね...
      こんなお酒を」

   女 「いいえ... 私が知ってたわけじゃないんです... これは受け売りなんですよ... 」

マスター 「だとすればその方は、余程バーボンのお好きな、かなり通のかたですね... 」

   女 「そうですね... 確かにお酒が好きな人ですね... 」

バーテン 「お待たせいたしました... どうぞ」


彼女の前に、グラスが置かれた-----


   女 「どうも... 」

バーテン 「失礼ながら... 元々はお酒は飲まれないとお聞きしましてので、水割りでお出ししようかと
      思ったんですが、それではこのお酒の折角の味わいが半減いたしますので、あえてオンザ
      ロックでご用意いたしました...
      ですので、もしお口に合わないようでしたら、その時にはお申し付け下さい... 」

   女 「それはどうも... ありがとうございます... 」

マスター 「こちらが、バーボンウイスキーの逸品と云われるメーカーズマークのゴールドトップで
      ございます... 」

   女 「これがそうなのね... いい香りがする... 」


彼女はゆっくりと、一口----


マスター 「いかかでしょうか... お味の方は...?」

   女 「... こんなに... こんなに美味しいなんて... 」




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