2011年06月25日

千夜一夜 / アラカルト -scene:final-




バーテン  今宵も「バール サンドリオン」へお越しいただき、誠にありがとうございました...

      ではここで... 今回登場致しましたカクテルを改めてご紹介させて頂きます...
      と... いつもですとこうなるのですが、生憎と今回は登場されましたお二人の
      オーダーを、皆様はご存じないように記憶しております。

      そこで今夜はこの場で皆様にも、カクテルのカルキュレイションをお楽しみ
      頂きたいと思っております.....


      それでは.....
      ベースとなるカクテルをご紹介いたします...
      カクテルの名前は、「ホワイト・レディ/WHITE LADY」.....

      材料はドライ・ジン(1/2)とホワイト・キュラソー(1/4)、それにレモン
      ジュース(1/4)という内容です...
      レシピは、またの機会にご紹介させて頂くとしまして.....

      では早速、カルキュレイションを楽しんで頂きたいと思います。

      まずベースのジンを引き、ブランデーを足すと....
      「サイドカー」に.....

      またウオッカを足した場合は「バラライカ」になり、ラムを足した場合には
      「マイアミ」というカクテルになります.....

      この他にも...
      ベースはそのままで、レモン・ジュースを引いてチェリー・ブランデーを
      足すと「パシフィック」...
      ホワイト・キュラソーを引いてクレームド・ヴァイオレットを足すと「ブルー・
      ムーン」というカクテルに生まれ変わります.....


      幾度となく過ごされるカウンター越しのひと時に、皆様もこのようなカクテルの
      カルキュレイションを楽しまれてみてはいかがでしょうか...?


      それでは.....
      またのお越しを、心よりお待ちしております.....

      ありがとうございました-----




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2011年06月24日

千夜一夜 / アラカルト -scene:4-


旅立ちの前夜は... 彼女との記念の一夜となった-----

凛としたその面持ちと...
透き通った優しい響きの声を聞かせてくれた、その女性との出逢い...

私はいつしか、彼女との再会を願っていた-----



琥珀色にベールに包まれた店内で...
そのカルキュレイションが始まった-----


バーテン 「それではまず簡単なところから...  ジン+レモン+シロップ+ソーダ...
      イコールは?」

   男 「はなはだ優しい計算だな... ジン・フィズだ」

   女 「そうですね」

バーテン 「次に...  そのジン・フィズからソーダを引くと何と呼ばれるでしょうか?」

   女 「それは... ジン・サワーです」

バーテン 「では同じくジン・フィズからレモンを引いた場合は何でしょう... ?」

   男 「確かジン・リッキーだったかな...?」

バーテン 「いいえ、残念ながら... 」

   女 「ジン・スリングですね、それは」

バーテン 「流石ですね... 」

   男 「よし...  ベースを変えてみてくれないか」

バーテン 「はい...  それではソルティ・ドッグからソルトを引けば...?」

   男 「ブルドッグだな」

バーテン 「では少し複雑にします...  マンハッタンからチェリーを引いて、パセリを足すと
      どうでしょうか...?」

   女 「チェリーを引いてパセリだと...  そう、セントラルパークですね」

   男 「何だかジョークみたいなカクテルだな、そうなると」

バーテン 「そうですね... でも本当にそう呼ばれてますからね...」

   女 「それにしてもこの調子で話してると、あっという間に夜が明けちゃいますね」

   男 「それは云えるね... 何しろカクテルの数だけ公式があるんだからな... 」

バーテン 「カクテルだけでなく、お酒に纏わる話は、尽きることはありませんからね」

   男 「ひょっとすると、千夜一夜...  語り明かせるかもしれないな... 」

   女 「千夜一夜か... 」

バーテン 「さしずめ今夜は、その第一夜というところでしょうか... 」

   女 「素敵ですよね...  そういう夜って... 」

   男 「マスターがいれば...  もっとよかったんだがな... 」

バーテン 「明日の夜には、店におりますが... よろしければ、明日の夜また...」

   男 「それが駄目なんだな...  今夜でしばらくお別れなんだ... この店とも」

バーテン 「エッ...?」

   男 「明日の午後一番の飛行機で、日本を発つんだ... 」

バーテン 「そうでしたか... 」

   男 「仕事でね...  今度はロンドンだ... 」

バーテン 「で、今度日本へはいつ頃...?」

   男 「いつになるかな...  仕事が片付き次第としか、今は云えないな... 」

バーテン 「そうですか... 」

   男 「最後にマスターに会えなかったのは残念だったが...  君や彼女のお陰で
      それなりに楽しい夜を過ごさせてもらったよ... 」

バーテン 「恐れ入ります... 」

   男 「漂流船が唯一錨を降ろせる港だからな、ここは。 またふらりと戻ってくるよ... 」

バーテン 「その日をお待ちしております... 」

   女 「でも残念ですね...  折角、お知り合いになれたのに... 」

   男 「そうだね...  確かに残念だな... 」

   女 「そうだ...  今度日本に戻られた時には、是非、私のお店にもいらして下さい...
      私、腕を振るいますから」

   男 「ありがとう...  覚えておくよ、君の事は」

バーテン 「良ければ私も一度...  そのお店に寄せて頂こうかと思ってるんですが...
      よろしいでしょうか...?」

   女 「光栄です。いつでも、どうぞ... 歓迎します」

   男 「ところで、肝心のその店の名前は何ていうのかな?」

バーテン 「そうでしたね...  まだお店の名前も、それにお客様のお名前も... 」

   女 「失礼しました...  私の名前は、緒方涼子... 」

バーテン 「緒方涼子様... 」

   男 「響きのいい名前だな...  それで店の名は...?」

   女 「お店の名前は...  ブランシュ・ネージュ... 」

バーテン 「ブランシュ・ネージュ... 」

   女 「フランス語で...  白雪姫という意味です」

   男 「白雪姫か... 」



次の日の午後-----


空港のロビーに流れるアナウンス....
私はカバンを持ち、歩き出した...

ほんの少しばかりの未練を残して
私は日本を後にした.....


飛行機の離陸音-----




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2011年06月23日

千夜一夜 / アラカルト -scene:3-


その夜は... 彼女との思い出の一夜となった-----

どこかしら翳りがあり...
それでいてその微笑に屈託のない、その女性との出逢い...

それは彼女に纏わる話しから始まった-----



微かにジャズが流れる店内----


   男 「それで... 店はどこに?」

   女 「宝塚です... 」

   男 「花のみち、宝塚か... 」

バーテン 「それで色々とご存知だったんですね... 」

   女 「すみません... 別にそんな気はなかったんですが... 」

バーテン 「いいえ、とんでもないです...  こちらこそ勉強になりましたから... 」

   男 「それにしても凄いね... ひょっとすると、ここのマスターにも引けを
      とらないんじゃないかな... 」

   女 「それはないと思います... 」

バーテン 「ご存知なんですか... ? マスターを」

   女 「いえ... お会いしたことはないんですが...  お噂はかねがね... 」

   男 「そうか... ここのマスターは同業にも知られてるのか... 流石だな... 」

   女 「実は私...  そのマスターにお会いしたくて、今夜はここへ来たんです」

バーテン 「そうでしたか... 」

   男 「だが生憎とマスターは留守だった... 残念だったね」

バーテン 「誠に申し訳ございません... 」

   女 「いいえ... とんでもない... 」

   男 「どうだろう... 彼女も同業でありながら、わざわざ宝塚から来たことだし
      もう少しさっきの話に花を咲かせてみては... 」

バーテン 「賛成ですね... いかがですか? お客様は」

   女 「喜んで... 」

バーテン 「ありがとうございます... 」

   男 「それじゃ早速だが...  共にバーテンダーであるお二人に伺おう... 」

   女 「はい... 」

バーテン 「何でしょうか...?」

   男 「3ボトル・バーとは、一体何のことかな... ?」

   女 「3ボトル・バー...?」

   男 「どうかな? 我らがバーテン君は」

バーテン 「それなら、知っております... 」

   男 「オッ、流石だな...  聞かせてくれたまえ」

バーテン 「3ボトル・バー...  それは、確か今から50年以上前に、ロンドンで発刊された
      カクテルブックのタイトルで、ウイスキーとジン、それに白ワインの3種類が
      揃えば、カクテルパーティーが出来るというコンセプトで書かれたものだと聞いて
      おります... 」

   女 「なるほど...  そういうことか... 」

   男 「案外やるな...  バーテン君も」

バーテン 「恐縮です...  そもそも3種類のお酒の選択が、少々イギリス人の好みに偏って
      ますが...  要は3という数字がカクテルにとってポイント・ナンバーであると
      いうことですね」

   女 「事実、そうですものね...  カクテルには3つの材料、それどころか1、2種類の
      お酒でその味が決まるものが多い... 」

   男 「だからこそ、混ぜ合わせる種類を出来るだけ少なくし味わいを出すことが、優れた
      カクテルの条件と云えるかもしれないな... 」

バーテン 「そうですね...  それに尽きますね... 」

   男 「さて、今度は君の番だ...  それなりの話を聞かせてくるかなか」

バーテン 「でも私は... 」

   男 「今の調子でいいんだよ」

   女 「何か聞かせてください... お願いします」

   男 「マスターの留守を預かってるんだろ... 何とかしろよ」

バーテン 「... はい... わかりました...  それでは、カクテルのカルキュレイションを... 」

   女 「カルキュレイション...?」

   男 「なるほど、計算ってわけか... 」

   女 「カクテルの、計算...?」




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2011年06月22日

千夜一夜 / アラカルト -scene:2-





その夜は... 彼女との出逢いの一夜となった-----

涼しげな瞳をした...
それでいてどこか親しみを覚える、その女性との出逢い...

それはオールド・パーに纏わる話しから始まった-----



ゆっくりと時が流れる店内----


   女 「トーマス・パー... 彼は1483年、スコットランド生まれの農夫で、八十歳で
      結婚をし、百五歳に村の美女と不倫、百二十二歳でその女性と再婚...
      そして百五十二歳でその生涯を終えたという、すごい人物だった...
      そこで、その彼の長寿にあやかってオールド・パーのラベルには「オールド・
      パー152years」と記され、名付けられたと云われています... 」

   男 「たいしたもんだね... 」

バーテン 「よくご存知ですね... お手上げです」

   女 「いいえ... 私もこの手の話しが結構好きなものですから... 」

   男 「ついでに補足させてもらうと... ラベルに描かれているのが人物が、その
      トーマス・パー本人で、これはバロック美術の代表的画家であるルーベンスが
      描いた絵がもとになってるそうだ... 」

バーテン 「さすがですね... 藤堂様も」

   女 「お詳しいんですね... 」

   男 「私もお酒が好きだからね... 」

バーテン 「それにしても... このボトルのラベルに、それだけの謂れがあるなんて...
      思いもよらなかったな... 」

   男 「スコッチ・ウイスキーの中でも、ユーモアがある謂れを持つのが、このオールド・
      パーと云えるだろうな... 」

   女 「そういえば... 同じスコッチでも、ラベルの裏に謂れがあるものもありますよね... 」

バーテン 「ラベルの裏?」

   男 「というと...?」

   女 「そもそもラベルには、表側に貼ってあるメインラベルと、裏側のバックラベルの
      2種類の趣があって、そのバックラベルにちょっとした趣向を凝らしたお酒が
      あるんです... 」

バーテン 「そのスコッチとは... 何なんでしょうか...?」

   女 「ホワイト・ホースです」

   男 「ホワイト・ホース...?」

バーテン 「で、そのバックラベルには、一体どんな趣向が...?」

   女 「それは、バックラベルを見れば一目瞭然です」

   男 「見てみようじゃないか... そのバックラベルを」

バーテン 「そうですね... 百聞は一見に如かずですね... 」


バーテンはホワイト・ホースを取り出し、私のもとへ-----


バーテン 「... どうぞ」

   女 「いかかです... 細かい英語の文字が並んでませんか... 」

   男 「... 確かに... 」

バーテン 「何と書いてあるんでしょうか... 」

   男 「直訳すると...
      エジンバラからロンドンへ行こうとする人、あるいはその道のりのどこかまで
      行こうとする人は、エジンバラのホワイト・ホース・セラーに集まること...
      ここから毎週月曜日と金曜日の朝5時に、乗り合い馬車が出発する。行程は
      八日間... 云々...
      乗客の荷物は14ポンドまでは無料。それを超える時は1ポンドにつき6ペンス
      ... 1754年2月... 」

バーテン 「これは... 」

   女 「そう... 当時の駅馬車の乗車規定ですね... 」

   男 「確かにそうだな... でもどうしてそんなものをこのバックラベルに...?」

   女 「残念ながら、それは不明だそうです...
      ただ、製造者の思い入れやホワイト・ホースの歴史が、そのバックラベルによって
      静かに語られていることだけは、うかがい知れますよね... 」

バーテン 「バックラベルか... 」

   男 「... それにしても、ただの物知りじゃないね、君のその博学ぶりは... 」

バーテン 「確かにそうですね... 」

   男 「ひょっとして、君... 」

   女 「そうですね... 多分、お察しのとおりです」

バーテン 「どういうことなんでしょう? それは... 」

   男 「それはつまり... 君と同じってことだよ、バーテン君」

バーテン 「同じ... ?」

   女 「実は私も、カウンターでシェイカーを振る、バーテンなんです... 」

バーテン 「エ...?」




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2011年06月21日

千夜一夜 / アラカルト -scene:1-







今夜は... 私の話をご紹介しよう-----

それは... この街を旅立つ前夜のこと...
生憎とマスターは不在だったが、ある女性のお陰で
それなりに楽しく過ごせた一夜となった-----



いつものように、静かに時が流れる店内----


   男 「やっぱりここが、一番性に合ってるんだな... 」

バーテン 「たまにいらっしゃると、いいことをおっしゃるんですね... 」

   男 「ということは何かな、バーテン君... いつも来てるとロクなことしか
      言わないってことかな?」

バーテン 「いいえ... 決してそんなことだとは... 」

   男 「男、三十過ぎたら... もう少し気の利いたこと言わなきゃ、単なる中年の
      オジさんで終わるぞ... もう少し勉強した方がいいな」

バーテン 「勉強? 勉強って、何の勉強でしょうか?」

   男 「嗜みだよ」

バーテン 「嗜み... ですか?」

   男 「そう嗜み... たとえば、少なからずとも君の場合は、そうしてカウンター越しに
      シェーカーを振るバーテンダーだ... 」

バーテン 「はい... 確かに... 」

   男 「なら、そのバーテンとして、王道を極めるための色んな嗜みを踏まえることが
      君を単なる中年で終わらせない秘訣になるんじゃないかな... 」

バーテン 「少し酔われてませんか? 藤堂様... 」

   男 「ン... そうかも知れない、かも知れない... 」

バーテン 「マスターが留守の時は、三の線ですね、藤堂様... 」

   男 「やっぱり駄目だな... 今日は調子が良くない... 悪酔いかな... 」

バーテン 「私のせいだなんておっしゃらないでくださいよ... 」

   男 「いやいや... これはマスターがいないせいだな... 」

バーテン 「同じゃないですか... 」

   男 「言葉の解釈は個人の自由だ... 気を悪くしないでほしいな... 」

バーテン 「...参りました... 」


そこで私は何気にタバコをくわえ、火を点けた...
愛用のジッポーで....
そしてゆっくりと一口-----


   男 「ところでバーテン君... さっきの嗜みの話だが... 」

バーテン 「今度は真面目なお話のご様子ですね... 」

   男 「名誉挽回だよ」

バーテン 「なるほど... 」

   男 「その嗜みになるような、こんな話は知ってるかな...?」

バーテン 「それはどのような...?」

   男 「今、君の後ろに置いてある... そのボトルの話だよ」

バーテン 「後ろのボトル... ですか?」

   男 「そう... しゃがれたそのボトルだよ... 」

バーテン 「これは... オールド・パー」

   男 「それだ... そのウイスキーに纏わる話だよ... 」

バーテン 「オールド・パーに纏わる話... 」

   男 「君はそのウイスキーの由来... 知っているかな?」

バーテン 「いいえ... 生憎とこのお酒については何も... 」

   男 「実はその名前は... 」

   女 「...トーマス・パー... 確か人の名前ですよね... 」

   男 「よく知ってますね... お嬢さん... 」

   女 「あ、すみません... つい口を挟んだりして... 」

   男 「いいや、一向に構いませんよ。それより、その続きを聞かせてもらいたい
      ものですね... お嬢さん... 」

バーテン 「私からもお願いします... お客様... 」

   女 「あ... はい... 」




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