2011年05月31日

呪 文 -scene:1-





     呪文 ...

     その意味は一般に、神秘的、呪術的な効果をもつと信じられている言葉。
     たいていは定型化されていて、これを唱えることによって幸運、幸福を招いたり
     災禍を防ぐことが出来るとか出来ないとか...
  
     そんな呪文にまつわる話を、マスターから聞かされたこともあった...

     今夜はその話をしてみたい...

     それはマスターの、こんな台詞からはじまった...


マスター(Na)今宵は上弦の月...
      恋する乙女たちが、その月の明かりのもと、ある呪文を唱えて願いを託せば
      その恋が成就するとか、しないとか...
      カクテルにも、そんな願いを叶えるような、不思議な魔力が秘められたものが
      あると言われております...

      それは...

      黄緑色の衣装を纏うそのカクテルを見つめながら呪文を唱え、ゆっくりと目を
      閉じ、想いを寄せるその方の名を心の中で何度も何度も言い続けます...

      そして自分の想いが叶うと思った瞬間に目を開け、その時にカクテルの色が
      変わっていたのなら...
      その恋が叶うというものです...


     まさかそんなと... 私は思わず口にした...


マスター 「そうですよね... 果たしてこれが真実かどうかは定かではありません...
      私も機会があれば、一度試してみたいと思ってはおりますが...」
 

     自分もそう思った...


     「ちなみにマスター、その呪文って?... 」

マスター 「それはこう唱えるのだそうです... アブダ、カタブラ... 」







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2011年05月30日

XYZ






     XYZ ...

     それはマスターが彼女のために作ったカクテルの名前...

     名前の意味は、XYZ がアルファベットの最後の綴ることから
     「もう後が無い」「最後の」といった意味が込められていると... 
     確かそう聞いたことがある...

     そんなカクテルを彼女の前にそっと差し出し、マスターは静かにつぶやいた...
     まるで独り言のように...

     「物語の終わりは... 次の物語のはじまりだと... そうどなたかが言って
      おられました...」

     およそ女の子が吸わない銘柄のタバコに火をつけて...
     ゆっくりとその煙に視線を落とす彼女の瞳には...
     忘れられない誰かを見つめているような、そんな眼差しに思えた...

     そんな彼女はマスターのセリフに、自分を重ねたようだった...

     「終わりが、はじまり...」

     「このカクテルは、そんな気分の方にお勧めのお飲み物かと...」

     そのマスターのセリフに、私は心地よい響きを感じた...

     そう...
     これが『バールサンドリオン』での、最初の出来事だった...


     ちなみにこのカクテルのレシピは..

     ラム、コアントロー、レモンジュースをシェークし、カクテル・グラスに
     注げば出来上がり...

     いたって簡単なカクテル...

     好きなカクテルだな... 私は...











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2011年05月29日

序 章 - プロローグ -





     90年代の半ば、私はその店と出逢った-----


     人知れず海岸通り近くに、ひっそりと佇んでいた酒場...

     訪れる客に、女性のマスターが一人...  カウンター越しに静かに語りかける...


     「いらっしゃいませ... 今夜は何を... 」


     店をやさしく包んでいるのは、静かに流れるジャズの旋律-----

     はじめて訪れる男も... いつもの馴染みの女も...

     この店に一歩足を踏み入れたその瞬間から、時間の色が変わる-----

     そんな場末の止まり木... 『バール サンドリオン』

     でも今はもう... 

     そのカウンターでカクテルを口にすることもなく
     記憶の中でしかグラスを傾けられない ...


     酔いが懐かしさに拍車をかけきた...

     ここから先、しばらくあの頃を想い出してみたい...

     そんな気になってきた----






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2011年05月28日

【opening】



止まり木とは.....
それは流離い飛ぶ鳥の、翼休めし静寂の場-----

また止まり木とは.....
それはつかの間の微睡みに、刹那の夢見し安逸の場-----

そして止まり木とは.....
それは夜の帳に覆われた街に、ひっそりと佇む静穏の酒場-----

さて.....  今宵、その止まり木に訪れし方は-----













[ a postscript ]
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